虫歯予防の新常識 キーワードは再石灰化
クイズ:虫歯は、歯医者に行かなくても治ると思いますか?
正解:初期の虫歯は治ることが、あります。
ただしフッ素配合歯磨剤の使用が必要です。(1450ppmフッ素濃度)
食事すると歯に付着した歯垢が酸性になり歯が溶けます。
しばらくすると唾液で歯の表面は回復します。溶けることを脱灰、回復を再石灰化といいます。
(pH5.5以下で脱灰が始まります。)歯の表面は、脱灰と再石灰化を食事ごとに毎日繰り返しています。
脱灰が優位だと虫歯になり再石灰化が優位になると、初期の虫歯は治ります。
図の斜線部で脱灰が起こっています。甘い物の方がおにぎりより脱灰量が多くなります。
歯磨き剤の新常識は、歯の表面が脱灰しても再石灰化が起こるよう毎日、
フッ素配合歯磨剤の使用を続けることです。
具体的には、寝る前に1450ppmのフッ素配合歯磨剤をブラシ全体につけ、
少量の水で口の中の隅々までまわします。その後、吐き出してそれ以上うがいをしません。
この方法でやってみて、定期検診で虫歯チェックをしてもらって下さい。
0-6才までなら500ppmのジェルタイプがおすすめです。フッ素だけですべて解決ではなく唾液量、
甘い物の量や取り方も虫歯に関係します。
再石灰化はフッ素配合歯磨剤によって起こります。下の表はフッ素配合歯磨剤の考え方の変化です。
予防効果では歯ブラシよりフッ素配合歯磨剤が勝る結果がでています。
フッ素配合歯磨剤に対する考え方の変化
変更点 | 現在 | 従来 |
位置づけ | 積極的虫歯予防 | 歯磨きの補助 |
虫歯予防効果 | 歯ブラシ<フッ素歯磨き剤 | 歯ブラシ>フッ素歯磨き剤 |
開始年齢 | 乳歯が生えたら | うがいができたら |
使用年齢 | 生涯にわたって | 小児期中心 |
応用量 | 年齢に即した量(説明書記載) | 特に規定なし |
ブラシ後のうがい | 5-15mlの水で1回推奨 | 歯磨剤なくなるまで何回も |
日本口腔衛生学会、日本小児歯科学会のHPでフッ素の安全性について書かれています。
フッ素使用は個人の自由ですが、虫歯予防に効果があることには多くの報告があります。
参考)中嶋省志「フッ素による齲蝕予防のメカニズムの新常識」デンタルハイジーン2021