歯が少ないほど認知症になりやすい事実(2015.11.17)

 歯は物を食べる時にだけ必要なものではありません。物を噛むという事で、脳が刺激されます。歯と歯を噛み合わせた時の刺激は、歯根にある歯根膜から脳に伝わります。この刺激は、脳の感覚や運動、また記憶や思考、意欲を司っている部分を活性化しているのです。東北大学が行った、高齢者の歯の残存数と認知症との関係についての研究では、健康な人では平均14.9本の歯が残っていたのに対し、認知症の疑いのある人では、9.4本しか残っていませんでした。また、残っている歯が少ないほど、記憶や学習能力に関わる海馬や、意志や思考の機能に関係する前頭葉の容積などが少なくなっていた事がわかりました。この結果から、歯が無くなると、脳が刺激されなくなり、脳の働きに影響を与えているという事が判明しました。神奈川歯科大学の研究結果では、残っている歯の数が20本以上ある人に対して、歯が無い、また入れ歯も入れていない人の認知症リスクは1.9倍。良く噛んで食べられる人に対して、あまり噛めない人の認知症リスクは、1.5倍となっています。歯が無くなった時でも、入れ歯やインプラントで噛むことが出来ます。入れ歯は人工的に作った歯や歯茎です。インプラントは、顎の骨に、チタンで作った歯を埋め込み、その上に人工の歯を作るものです。どちらも脳を活性化するために、役立ちます。認知症は味覚がなくなったり、食べたことさえ忘れてしまいます。いつまでも おいしく楽しく食べるために、歯が必要です。

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